「最強の戦国武将」として名高い上杉謙信公の居城であり、日本百名城にも選ばれている新潟県上越市の春日山城(かすがやまじょう)。
「一度は行ってみたい!」と思いつつも、天守閣がない広大な山城だけに、「どこを見ればいいの?」「かなりきついの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初めて春日山城を訪れる歴史ファン・お城巡り初心者の方向けに、絶対外せない見どころ、おすすめの散策ルート、所要時間、服装やアクセスの注意点を、現地のリアルな体験談とともにお届けします!
初めての人が知っておきたい「春日山城」の基礎知識

まずは、春日山城を巡る前に押さえておきたい基本をお話しします。
天守閣はない?見どころは「巨大な土の芸術」

春日山城は、現在よく見られるような石垣や白い天守閣があるお城ではありません。山そのものを削ったり土を盛ったりして造られた「土の城(山城)」です。 一見ただの山に見えるかもしれませんが、敵の侵入を防ぐために人工的に掘られた「空堀(からぼり)」や、斜面を削って崖にした「切岸(きりぎし)」など、戦国時代の要塞としての知恵がそのまま残されているのが最大の魅力です。
「初めて」ならまずは春日山神社側から!

春日山城はとにかく広大です。すべてを真面目に歩くと1日では足りないほどですが、初めての観光であれば、中腹にある「春日山神社(謙信公銅像前)」を拠点にするのが王道で最も安心です。
初めての春日山城おすすめ観光ルートと所要時間

初めての方に一番おすすめしたいのが、主要な見どころを効率よく網羅できる「三郎景虎屋敷コース」です。
【王道】謙信公銅像から本丸へ!三郎景虎屋敷コース

- 三郎景虎屋敷コース: 春日山神社下駐車場→春日山神社→謙信公銅像前(スタート) → 三の丸 →二の丸→本丸→大井戸→景勝屋敷→大井戸→本丸→毘沙門堂→ 直江屋敷 →千貫門 →春日山神社
- 所要時間: 約1時間30分(写真を撮りながらゆっくり歩いた場合)
ここだけは絶対外せない!春日山城の見どころ8選
ルート沿いにある、絶対に見ておくべきハイライトを詳しくご紹介します。
三の丸(米蔵・三郎景虎屋敷)
三の丸に立ったら、まずは上を見上げてみてください。すぐ頭上に二の丸、そして本丸の切岸(人工的な崖)が迫るようにそびえています。
二の丸(本丸と大井戸を守る最強の盾)

二の丸からさらに急な坂を登ると本丸に到達します。本丸へのルートを固めるための重要な郭であり、周囲の土塁や堀切などの跡から、当時の厳重な縄張り(城の設計)を体感できます。
頸城平野と日本海を一望!「本丸跡・天守台」

春日山城の最高地点(標高約180m)に位置する本丸跡と天守台。

ここからの眺めはまさに圧巻の一言です! 目の前には広大な頸城(くびき)平野が広がり、その向こうには日本海、そして天気が良ければ米山などの山々まで見渡せます。

かつて上杉謙信公もここから同じ景色を眺め、領国に思いを馳せていたのかと思うと、胸が熱くなりますね。当時の人々の視点を体感できる、一番のパワースポットです。

今も枯れない神秘の「大井戸」

山の上にあるにもかかわらず、今もなおこんこんと水をたたえている巨大な井戸です。

山城にとって「水の確保」は死活問題。この大井戸があったからこそ、春日山城は難攻不落といわれました。歴史の教科書だけでは分からない、戦国時代の「生き残るための知恵」がここにあります
天然の要害を体感する「景勝屋敷」

上杉謙信の後継者である上杉景勝が実際に構えていた広大な平場(曲輪)と、防御のための土塁の痕跡が残されています。
謙信公が戦勝を祈願した「毘沙門堂」

自身を毘沙門天の生まれ変わりと信じた謙信公が、出陣の前にこもって戦勝祈願をしたとされるお堂(復元)です。
周囲は木々に囲まれており、どこか張り詰めたような、神聖で静かな空気が漂っています。
直江兼続の足跡を感じる「直江屋敷」

大河ドラマでも有名になった智将・直江兼続(あるいは直江景綱など歴代の直江氏)の屋敷があったとされる場所です。 段々畑のように何段もの広場(曲輪)が連なっており、ここに多くの家臣団が住み、城を守っていたというスケール感を肌で感じることができます。
春日山城の堅固さを実感する千貫門

春日山城内部への門の一つ「千貫門」があったとされる場所。

現在でも敵への侵入を阻む、空堀や切岸など色濃く遺構が残っています。堅固さを実感できる場所です。
【アクセス】春日山城の駐車場と行き方
車で行く場合と、公共交通機関を使う場合でポイントが変わります。
車の場合:まずは「春日山神社下駐車場」を目指そう
初めての散策で最も便利なのは、春日山神社の下にある「春日山神社下駐車場」(無料・約30台)です。

ここに車を停めれば、すぐに観光ルートへ入れます。

なお、城のふもとにも大手道駐車場がありますが、そこから本丸を目指すと本格的な登山ルートになり、初めての方にはかなりハードなので注意してください。
電車・バスの場合:トキ鉄「春日山駅」から
えちごトキめき鉄道「春日山駅」が最寄りです。駅から城の入り口までは徒歩で約30〜40分ほどかかります。 体力を温存したい場合は、駅からタクシーを利用するか、季節運行されているバスのスケジュールを事前に確認しておくのがおすすめです。
初めてでも安心!春日山城巡りの服装と注意点
「観光地」と思って油断していくと痛い目を見るのが山城です。以下の準備は忘れずに!

- 靴はスニーカー必須!: 未舗装の土の道や、ゴツゴツした石段、坂道が多いです。ヒールやサンダルは絶対にNG。歩き慣れたスニーカーかトレッキングシューズで行きましょう。
- 飲み物は事前に用意: 春日山神社の周辺を過ぎて城内(山の上)に入ると、自動販売機や売店はありません。特に夏場は、登り始める前に必ず水分を確保してください。
- 熊鈴・虫除け対策: 自然豊かな山の中です。季節によっては虫除けスプレーがあると快適です。また、念のため熊鈴を持参するか、周囲の音に注意しながら歩きましょう。
あわせて巡りたい!周辺のおすすめ歴史スポット
春日山城を満喫した後は、ぜひ車で数分の距離にある以下の2スポットにも立ち寄ってみてください。旅の満足度がさらに上がります。

- 林泉寺(りんせんじ): 謙信公が幼少期に過ごし、熱心に学んだ曹洞宗の古刹。山門に掲げられた謙信公直筆の「第一義」の額(実物は宝物館)や、謙信公のお墓(墓所)があり、春日山城とセットで訪れるべき聖地です。

- 上越市埋蔵文化財センター: 春日山城のふもとにあります。現地の遺物や、春日山城の構造をわかりやすく解説したジオラマなどがあり、お城巡りの前後に立ち寄ると、城への理解がグッと深まります。私はこの建物の隣にある駐車場を利用しました。
訪問記
2026年5月3日、初めて春日山城へ訪問しました。
私は上越市埋没文化財センター駐車場に車を停め春日山城へ歩いて向かいました。初めての方はこの先に春日山神社下駐車場がありますので、そちらへ向かってください。

私が停めた駐車場ですと大手道から本丸を目指すことになります。

人気のない山道を登っていくことになりますでのあまりおすすめはしませんが大手道から本丸へ向かうルートはとても楽しいことは事実です。

実際に歩いてみてこの城を力攻めで落とすのは非常に厳しいと感じました。城を包囲し兵糧攻めで相手が飢えるのを待ち降伏させることが現実的な選択肢でしょう。本能寺の変がなければ柴田勝家が春日山城攻略へ挑んだ思います。どういう結末を迎えたのでしょうか。非常に興味があります。

戦国最強と呼び声が高い上杉謙信が暮らしていた「御屋敷(おやしき)」と呼ばれる広大な館跡や大河ドラマの主役であった直江兼続の屋敷も歩いてきました。「御屋敷」は山の麓にあり山頂にある上杉景勝屋敷に比べて防御が薄いと感じましたが、後で調べてみると春日山城は城下町全体を一つの要塞化する「惣構」でした。山頂ではなく屋敷を山の麓に構えたのは城の構想設計の自信の現れでしょう。実際、上杉謙信時代は一度も攻められておりません。
しかし、その不敗の城が身内の戦いで血に染まる日が来ます。1578年3月13日、上杉謙信公が急死。上杉家の家督の後継をめぐって、ともに謙信公の養子であった上杉景勝と上杉景虎の間で「御館(おたて)の乱」が勃発しました。
その最初の舞台となったのが、まさにこの春日山城です。本丸を抑えた景勝陣営と、三の丸に籠った景虎陣営の間で、激しい戦闘が起きました。
昨日までは同じ謙信公を戴く「味方」だった人々が、互いに命を奪い合うのです。彼らはどんな思いで刀を交え、そこにはどんな物語があったのでしょうか。
春日山城での戦いは、最終的に景虎側が三の丸から退却し、城下の「御館」へと移動することで決着がつきます。当時の山内は大混乱を極め、両陣営とも満足に兵を整えることができなかったのかもしれません。もし、双方がしっかりと兵力をコントロールできていれば、包囲は容易だったでしょうし、退却する途中で景虎は討ち取られていたはずです。
ちなみに、私が訪問した日の春日山城は非常に混雑していました。
正直に申し上げて、訪れる前は「歴史マニア向けのストイックな山城」だと思い込んでいたのですが、実際にはたくさんの家族連れで賑わう大人気観光スポットでした。やはり、戦国最強と名高い「上杉謙信の居城」という抜群の知名度とブランド力が、今も多くの人々を引きつける理由なのでしょう。
私は今回の訪問で、一気に「御館の乱」への興味が湧いてきました。本丸と三の丸という、目と鼻の先ほどの近距離で、昨日までの味方同士が戦う。そこには一体どんな物語があったのか、気になって仕方がありません。これから、御館の乱について書かれた文献に色々とあたってみたいと思います。
現地に足を運び、その場の空気に触れ、地形を体感する。このリアルな接触こそが、新たな知的好奇心の扉を開いてくれる――それこそが、お城を訪問する本当の醍醐味なのではないでしょうか。今回は最高の訪問となりました。また、再訪します。


