日本各地には数多くの城がありますが、昔から残っている城となると数は限られます。
戦国時代や江戸時代に建てられた天守が、当時のまま残っているのは全国でわずか12しかありません。

多くの城は戦争や火災で失われたのだ。
この記事では、現存するお城を紹介します。
天守が残る城は全国で12城だけ
戦国時代から江戸時代にかけて、日本全国には200以上のお城が存在したと言われています。
しかし、多くは廃城令や災害により失われました。
現代まで江戸時代以前の天守が残存する城を「現存天守」といいます。

「現存天守」とは、当時(戦国・江戸時代)に建造された天守が解体・消失を免れて現代まで残っているもののみを指すぞ。
なぜ12城しか残らなかったのか、理由は大きく3つあります。
一つ目は、明治時代の廃城令です。
明治維新後の1873年、政府が全国の城を廃止したことから、多くの天守が取り壊されました。
軍事施設として不要になったこと、維持費の問題があったからです。
二つ目は火災です。
ほとんどの火災は、落雷によるもの。
天守閣には火災で失われた天守も少なくありません。

しゃちほこに落雷が落ちることがよくあるんだ。
三つ目は老朽化による倒壊です。
木造建築である天守は、適切な維持管理がなければ朽ちていきます。
このような困難を乗り越えて今に残る12城は、まさに奇跡的な存在と言えるでしょう。
国宝に指定されている5つの城
現存する12城のうち、特に歴史的・文化的価値が高い5つの城が国宝に指定されています。
姫路城
まず筆頭に挙げられるのが、兵庫県姫路市にある姫路城です。
姫路城は、1609年に完成した5層7階の大天守を持ち、美しい白壁から「白鷺城」とも呼ばれています。
大天守、小天守、櫓、門など多くの建造物が当時のまま残り、城郭全体の姿を今に伝えています。
複雑に入り組んだ縄張りは、敵の侵入を防ぐ軍事施設としての機能を色濃く残しており、実際に歩いてみるとその巧妙さに驚かされます。
1993年には日本で初めてユネスコの世界文化遺産にも登録され、世界的にも認められた文化財です。
松本城
長野県松本市の松本城は、1593年から1594年にかけて建てられた5層6階の天守を持ちます。
姫路城の白とは対照的に、黒い下見板で覆われた外観から「烏城」とも呼ばれています。
松本城の特徴は、戦国時代の実戦的な構造を残していることです。
天守には鉄砲や矢を放つための狭間が多数設けられており、まさに戦うための城だったことが分かります。
北アルプスを背景にした姿は日本有数の美しさを誇り、多くの観光客が訪れます。
松本城は、平地に建つ平城としては最古の天守です。
犬山城
愛知県犬山市の犬山城は、1537年に建てられた現存天守の中では最も古いとされる城です。
3層4階の比較的小さな天守ですが、木曽川沿いの崖の上に建つ姿は堂々としています。
質実剛健な装飾を抑えた造りが戦国時代の緊張感を伝えています。
最上階からは木曽川や濃尾平野を一望でき、かつての城主が眺めた景色を体感できます。
犬山城は、なんと2004年まで個人所有だったという珍しい歴史も持っています。
彦根城
滋賀県彦根市の彦根城は、1622年に完成した3層3階の天守です。
徳川家康の家臣だった井伊家の居城として築かれ、徳川幕府の威光を示す重要な城でした。
彦根城の天守は小ぶりながら均整の取れた美しい姿で知られています。
破風と呼ばれる屋根の装飾が各層に施され、優雅な印象を与えます。
春には桜の名所としても有名で、琵琶湖を望む景観も素晴らしいものがあります。
松江城
島根県松江市の松江城は1611年に完成した4層5階の天守を持ちます。
2015年に国宝に指定された、一番新しい国宝天守です。
松江城の黒い下見板張りの外観は威圧感があり、戦国の気風を色濃く残しています。
宍道湖に近い水の都・松江のシンボルとして、市民に親しまれています。
重要文化財に指定されている7つの城
国宝以外の7城も、それぞれに個性的な魅力を持つ重要文化財です。
弘前城
青森県弘前市の弘前城は、現存天守の中で最も北に位置する城です。
弘前城の見どころは、何と言っても春の桜です。
約2600本の桜が咲き誇り、日本三大桜の名所の一つに数えられています。
冬には雪化粧した姿も美しく、四季折々の表情を楽しめる城です。
丸岡城
福井県坂井市の丸岡城は、1576年頃に建てられたとされる2層3階の天守を持ちます。
現存天守の中でも最古級の一つとされ、天守の屋根には石瓦が使われているなど古風な造りが特徴です。
戦国時代に存在したお城の原型のような存在です。
丸亀城
香川県丸亀市の丸亀城は1660年に完成した3層3階の天守を持ち、日本一高い石垣で知られています。
高さは約60メートルにも及び、「石垣の名城」と称されています。
小さなお城ですが、瀬戸内海を望む景観は素晴らしいものがあります。
石垣の美しい曲線美は、城郭建築の技術の高さを示しています。
高知城
高知県高知市の高知城は、1749年に再建された4層6階の天守を持ちます。
高知城は、天守と本丸御殿が両方とも現存している唯一の城です。
天守からは高知市街を一望でき、土佐藩の歴史を肌で感じられるでしょう。
追手門から天守まで一直線に見通せる景観も、高知城ならではの見どころです。
伊予松山城
愛媛県松山市の松山城は、1854年に再建された3層3階の天守を持ちます。
標高132メートルの勝山山頂に建ち、市街地からも目立つ存在です。
松山城の魅力は、天守だけでなく21棟もの重要文化財建造物が残る城郭全体の規模にあります。
本丸の広場から天守に至るまでの防御施設の数々は、まさに江戸時代後期の城郭建築の集大成。
ロープウェイで登ることもできる訪れやすい城の一つです。
宇和島城
愛媛県宇和島市の宇和島城は、1666年に再建された3層3階の天守を持ちます。
白壁の天守は装飾的な要素が強く、江戸時代前期の平和な時代の雰囲気を感じさせます。
市街地に近く、石段を登って訪れる過程も趣があります。
宇和島湾を望む景観も美しく、伊達家の居城として栄えました。
備中松山城
岡山県高梁市の備中松山城は、標高430メートルの山頂に建つ現存天守としては最も高い場所にある城です。
険しい山道を登った先に現れる天守は、まさに難攻不落の城と言えるでしょう。
秋から冬にかけて、早朝に雲海に浮かぶ姿は幻想的で、「天空の城」としても人気を集めています。
まとめ
日本に現存する天守は全国でわずか12城だけです。
そのうち5城が国宝、7城が重要文化財に指定されており、いずれも貴重な文化財です。
明治の廃城令や戦災、自然災害を乗り越えて残った奇跡的な存在です。






